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フリードレーンVⅡ 2分割の
開発ストーリー

技術営業部 設計課

戸塚 伸一

困難のおかげで、部署を越えた一体感を味わえました

設計の肝や、想定は
どんなものでしたか?

フリードレーンというのは箱型の形状で、それをどの位置で上下に分割したら必要な強度が満足できるのか、ということが一番重要でした。この開発の以前に、長さ1mの似たような製品を上下に切断加工をしてうまくいったことがあるので、今回の開発も大丈夫だろうというのが社内の雰囲気としてありました。

長さが倍になっても難しいことはないだろうから、1回の試験でOKになってすぐに製品化できる想定だったんです。でも、そうではなかった。なかなかうまい結果が出ずに、試行錯誤し続けることになりました。

どのように
試行錯誤したのですか?

ヒビとの戦いでした。「曲げ試験」と言って、上から大型車のような重さを加えて強度を確かめる試験があるのですが、どうしてもヒビ割れが発生してしまう。原因は上下接続面の緩衝材の柔らかさなのか、鉄筋の種類や位置なのか、部品やその設置場所の形状なのか、製造法なのか。

かなり複雑な要因から次の試験でトライする項目を決めて試作品を作り、1回1回試験を行いました。試験をするたびに結果が違っていたことには、とても難しさを感じました。

突破口は何でしたか?

一番大きかったのは蓋の形状でした。最初は蓋が内側にへこんだ「コの字」に設計し、1年間に10回の試験をしてあらゆることを試しましたが、ことごとくヒビ割れが起きました。
でもその失敗のおかげで、緩衝材や連結部品など、影響を与えていないものも把握することができました。そして、ある試験のなかで蓋の形を「スラブタイプ」という板状にしたところ、規格値(65kN)を大きく超えて負荷をかけてもヒビ割れが起きなかったんです。

そこで思い切って新しい型枠を発注し、鉄筋の太さや本数、配置方法などを変えながら試験を実施していき、2020年5月になんとか完成することができました。

開発中と、完成時の気持ちを
教えてください

せっかく工場で一生懸命準備してもらったのに、試験がうまくいかない。あれは本当に辛かったです。プレキャストコンクリート製品を試作するということは、生コンクリートを流し込む前にも鉄筋を作ったり型枠を改造したりと、かなりの時間がかかります。

生コンクリートを流し込んで固め、型から外した後も2週間おいて強度を出すのですが、その間にもいつの間にかヒビが入ってしまう。あの辛さは参加しているみんなが同じだったのではないでしょうか。

完成のとき、実は試験に立ち会えなかったんです。でも知らせを聞いて「ようやくできたか」って思いました。ちょうど営業としての仕事もしていたので、お客様に直接「2分割型ができましたよ」って言えることが嬉しかったです。

開発で得たことは何ですか?

予想以上の困難のなかで、私は初めてみんなと一体感を味わえました。製品開発が難しかったからこそ、試験を重ねるごとに「こうしたらいいんじゃないか」と部署を越えて意見を出し合えるようになったんです。例えば鉄筋班が「こういうのも作ってみたよ」と、骨組みを作ってくれました。結果的にそれはうまくいかなかったですけど、みんなでゴールを目指す気持ちが嬉しいですよね。

社内では以前から連携を強化していましたが、やはり設計では孤独を感じることも少なからずありました。でもこの開発では、営業側にも工場側にも気軽に「ここをどうしたらいいかな」と素直に聞けて、より良いものに近づけられました。

「安定した製品を作りたい」という工場側と、「単価を下げたい」という営業側の思い。それぞれの立場でお客様を第一に考えてのことなので、素直に話し合ってバランスを取れば、よりよいものづくりができますよね。お互いが全体的に物事を捉えるようになって、思いやりや信頼を持って仕事をできるようになったと思います。

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